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森林と人のこれから。

 サクラ満開の中、あっちへ行ったりこっちへ来たりと毎日走り回っています。
この前書いたように、今週は、会議や総会やと事務所でのデスクワークが全然出来なくて、すごく焦ってるんですよ。年度末と年度初めは毎年こんな感じなんで仕方ないんですけどね。

 そんなバタバタの毎日の中にも考えさせられることがいくつかありました。特に、JIA三重地域会の総会の中で聞いた林業家の岡安さんの基調講演が、すごく今の自分の役に立ちました。

          テーマは「森林と人のこれからについて」
京都議定書以降、「産業としての林業」から「環境貢献としての林業」への転換を、6年間で33万haの間伐を目標とするというカタチで進めてきたけど、あと2年となった来年からは間伐材を建築材として利用するという方針転換をしたんだって。

方向転換というのは、今までは何でもかんでも間伐して、それを山に放置してきたということ。間伐した材を売ってお金にしたら、補助金がもらえないという仕組みだったということですね。

でも、日本中の森林が同じように間伐を進めていってるわけではないから、地域によって山の状況が全然違うらしい。昔は、長野や岐阜や奈良が林業生産の中心だったけど、今はベスト5の中に九州の4県がはいるんだって。せっかく長い年月をかけて、高く売れる木を育ててきたのに、今更安いお金で切るなんてまっぴらだという生産者も多くいるそうで。(そりゃそうだねぇ。)そういう地域は間伐が進んでいないってこと?らしい。

そもそも、現在の森林整備っていうのは60~70%が税金で賄っているけど、その多くには所有者っていうのがいる私有地なのね。でも、いまやその所有者の行方すら分からないってことも多いらしい。所有者が分からなければ山の境界も分からないのはあたりまえだもんねぇ。

 しかも、その森林整備のお仕事は、今までは国から県、県から市ってな感じの縦割り行政だったけど、平成24年以降は国はそれらの業務を市町村に委ねるらしい。今や産業としてだけの林業は成り立たないけど、カーボンオフセットだけの林業もありえない。

他にも、酸性雨の影響で河川のチッソの濃度が増えてるとか、ナラ枯れとかの虫の問題とか、日本鹿の繁殖の問題とか、さっき書いた所有者が分からなくて、整備の団体化が進められないとかいった問題が山積みなんだって!(山なだけに。)

以上のような話だったと思うんだけど、・・・で、私たちが建築家として考えなくてはいけないこと、また行動できることは何かってことになるんですが、正直言ってますます良くわからなくなりました。

岡安さんは私と同じで「三重の木利用推進協議会」のメンバーなんですけど、林業のエキスパートで
すごく詳しいし、なによりビジョンを持っている。私はというと、建築の中で木を使うってことから山を守ってる気になってたんだけど、どうやら「林業を守る」っていうのと「山を守る」っていうのを混合していたような気がする。「林業を守る」っていうのは、「人(の生活)を守る」ってことで
人を守っても山は守れてないんだね、もしかして・・。

・・・というような、これからの私の活動にとっても有意義なお話でした。

ちなみに日本が本格的にTPPに参加するようになれば、この国の産業の仕組みとそれに伴う税金の使い道の仕組みも随分変わるに違いない。

さて、東日本大震災が起こってからもう1ヶ月が過ぎたというのに、大きな余震も続いています。
早く原発問題に先が見えて、復興のスピードが早まりますように。与党の中で権力争いしてる場合じゃないのにねぇ。全く情けないったら!
by ys-sekkei | 2011-04-13 16:52


虎キチ建築家の日々のあれこれ


by 亀山虎子

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