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解体してみると。

 鈴鹿市のK邸のリフォーム工事が始まりました。

今日も小雨の中、手作業で解体工事をやってもらってるのですが、予想通り、浴室のコンクリートの腰壁の上に引かれた土台が見事に腐っておりました。もちろん、ジャッキで上げて取り替えです。

 また、台所の出窓の上に大きな丁物(差鴨居)が入っていたので、計画しているキッチンの家電収納が納まらなくなってしまいました。

 リフォームの場合、図面(平面図・立面図・矩計図)が残っていたとしても、いざ解体を始めてみないと分からないことが多々あります。寸法が図面と違うことも結構あるし、酷い時には間取りまで変わっていたりします。

もちろん、構造図もないので仕方ないのですが、この地方の、立派な伝統工法の家の差鴨居には悩まされることが多いです。何故なら、開口部の上部にあるこの差鴨居を抜くことは得策ではないため、リフォームの時に、建具をもっと高くして欲しいというお施主様の要望に応えられないことが多いからです。

昔の日本人の身長に比べて、現代の若者の成長は著しく、1m80㎝の建具では低すぎるんですよね。

今回の場合も、どうしても高くできない建具はそのままの高さで作り直しますが、新しく作る開口部は出来るだけ高い建具を作ります。この家電収納の上部の差鴨居の場合は、なんとか抜くことが出来るので、胴差に6寸くらいの桁を抱き合わせることで補強することにしました。

 このお家が新築されたのは、まだほんの何十年か前ですが、多分、図面は軽視されていたのでしょうねぇ。
(・・・と言うより、設計という仕事自体の地位が低かったのでしょう。)

 大工さんの棟梁が絶対的な力と信頼を持っていた時代ですね。

もちろん、その時代の良い部分もいろいろあります。例えば、このお家の場合、建て替える際に、元の家の古材を上手に利用して使用されています。今みたいに、法律やコストパフォーマンスに縛られていなかった頃の、当たり前のリユースだったのでしょう。

 そういう素晴らしいところをリスペクトして、次の世代のための方向性を決めていければ良いのにねぇ。

国の政策とはいえ、どこに辿り着きたいのか。いまいち方向がよく分からないんだよね。
多分、役所の偉い人の3分の2は、こういう昔の時代の事情も知らない若い世代の人たちなのではないかしら?

しかも、伝統工法の住宅どころか、建売住宅とか公団の団地とかに住んでたりで、大工さんのつくる本物の家を知ってる人がどれくらいいるのかしらねぇ。

耐震も省エネも大事なのは分かったけど、今日みたいな日は、やっぱりいろいろ悩んでしまうんだよね。
                    (多分、久しぶりに梅雨らしい雨が降ったからでしょう。)
by ys-sekkei | 2014-06-18 19:18


虎キチ建築家の日々のあれこれ


by 亀山虎子

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